授業概要

質問紙調査の一連のプロセスを体験することを通して、調査を実施し、分析する基本的な方法について学びます。本授業によって、「教育に関する事象を論理的に理解する考察力」を養います。授業は、講義と実習を組み合わせて行います。実習ではグループでの作業が中心となりますので、授業には休まず出席し、授業時間外には課題に積極的に取り組むことが要求されます。秋学期の「教育調査Ⅱ」とセットで履修することを前提として進めます。

授業の到達目標

(1) 自らのテーマに即して仮説を設定し、質問紙が作成できるようになる。
(2) 実査を通じて得られたデータを分析に適するデータセットに成形できるようになる。
(3) 基礎的な分析手法を用いて、データから分かることをまとめられるようになる。

事前・事後学習の内容

この授業では講義に続けて実習を行うので、授業時間内に実習内容が終わらないことがあります。また、授業外での課題を指示することがあります。これらについて次の回までには必ず終わらせてくることが要求されます。事前・事後学習には90分~120分かかると想定されます。

授業計画

内容事前・事後の学修
第1回 イントロダクション【対面】授業の進め方を説明します。社会からデータを採ることの意味について、講義します。
講義80分 質疑応答:20分
シラバスを読んでおくこと。教科書第1章を読むこと。
第2回 調査を企画する【対面】社会調査の種類、調査の企画と設計について、講義します。また班を決めます。
講義:50分 演習:50分
教科書第2章を読むこと。
第3回 仮説を立てる(1)【対面】仮説とは何か、講義します。また、質問紙調査にもとづくレポートや論文について学びます。
講義:50分 演習:50分
教科書第3章を読むこと。
第4回 仮説を立てる(2)【対面】班ごとに仮説を作成します。
講義:30分 演習:70分
各グループで仮説を作成すること。
第5回 仮説を立てる(3)【対面】各班から提出があった課題についてコメントを返して、各班の仮説を練り直していきます。
講義:30分 演習:70分
各グループで仮説を修正すること。

第6回 質問文、調査票を作る(1)【対面】
調査票作成時の基本的な注意事項、質問文および選択肢に関するルールについて、講義します。各班の仮説および質問文の作成状況について、TAと連携してコメントを行い、より良い仮説および質問文の作成を目指します。
講義:30分 演習:70分
教科書第4章を読むこと。各グループで質問文を作成すること。
第7回 質問文、調査票を作る(2)【対面】前回に引き続いて質問文と調査票の作成を行います。
講義:30分 演習:70分
各グループで質問文を修正すること。
第8回 調査票の確定【対面】質問文や調査票のレイアウトなど、調査票の内容を確定させます。
講義:30分 演習:70分
各グループで調査票の内容を作成すること。
第9回 サンプリング【対面】質問文や調査票のレイアウトなど、調査票の内容を確定させます。
講義:30分 演習:70分
各グループで調査票の内容を作成すること。
第10回 エディティング、コーディング【対面】調査から得られた回答を分析するための準備を、実習として行います。
講義:30分 演習:70分
分析準備作業を、必要に応じて行うこと。
第11回 SPSSの基礎、データクリーニング【対面】作成したデータセットから度数分布表およびクロス集計表を作成する作業を、実習として行います。そしてデータクリーニングを行い、論理的な矛盾のないデータセットの作成を行います。
講義:30分 演習:70分
分析準備作業を、必要に応じて行うこと。
第12回 データの基礎集計(1)【対面】作成したデータセットから度数分布表およびクロス集計表を作成する作業を、実習として行います。
講義:30分 演習:70分
教科書第7章1節を読むこと。
第13回 データの基礎集計(2)【対面】データセットを用いて、度数分布表やクロス集計表を作成し、各班の仮説を支持する結果が得られたと言えるか、検討します。
講義:30分 演習:70分
分析結果をまとめること。
第14回 基礎集計と期末レポート作成【対面】仮説の検証結果を期末レポートに取りまとめ始めます。必要に応じて、レポート執筆の形式について講義します。
講義:30分 演習:70分
期末レポートの執筆を進めること。提出期限については別途連絡します。

教科書

大谷信介、木下栄二、後藤範章、小松洋編著『新・社会調査へのアプローチ 論理と方法』ミネルヴァ書房。

参考文献

適宜紹介する。

成績評価方法

レポート: 55% 授業時に説明するレポートの執筆要件を満たしていることが最低条件。その上で、論理的一貫性、オリジナリティなどをもとに評価する。
平常点評価: 45% チームワーク、授業内に提示する課題の提出内容を総合的に勘案する。