到達目標
<学卒院生>
・学校教育を取り巻く課題(以下、学校教育課題)について、「社会からの排除」という一貫した視点から理解し、それぞれの学校教育課題に関して「社会への包摂」という視点から実践プログラムを考案できるようになる。
・学校教育課題に対する多様な実践プログラムを題材とし、その可能性と実施上の留意点を理解することを通して、学校教育課題の解消に向けて多様な実践プログラムから適切なものを選択し、実施できるようになる。
<現職院生>
・学校教育課題について、誰が、どのような基準で、どのような過程で「社会からの排除」を受けることによって生じているのかを理解し、それぞれの学校教育課題に対する「社会への包摂」に向けて新たな視点から実践プログラムを考案できるようになる。
・学校教育課題に顕現する「社会への排除」に抗する多様な実践プログラムを題材とし、その可能性と実施上の留意点を理解することを通して、学校教育課題の解消に向けて多様な実践プログラムを実施・応用するとともに、他の教員にも指導できるようになる。
授業の概要
・事前学習として、さまざまな学校教育課題の現状とその背景について、どうしてそれが生じてしまうのかを説明する課題文献の講読とワークシートへの記入を行う。授業では、それに基づくディスカッションを実施する。
・学校教育課題の解消に向けて行われる実践プログラムについて、それぞれのプログラムの可能性と実施上の留意点を講義とディスカッションを通して理解し、実践プログラムの実施・応用に向けた考察を行う。
・上記の授業で習得した内容をふまえ、事後学習でワークシートを完成させ、毎回提出する。
・最終2回分の授業では、グループごとに任意の教育課題を設定し、それに対する実践プログラムを開発する。
授業計画(授業形態)
1 イントロダクション:学校教育における排除と包摂
2 学校教育①:生徒指導・教育相談体制と実践プログラム
3 学校教育以前①:子どもの貧困と実践プログラム
4 学校教育以前②:児童虐待と実践プログラム
5 学校教育②:不登校・高校中退と実践プログラム
6 学校教育③:いじめと実践プログラム
7 学校教育④:特別支援教育と実践プログラム
8 学校教育⑤:外国につながる子どもと実践プログラム
9 学校教育⑥:進路選択と実践プログラム
10 学校教育⑦:教職労働と実践プログラム
11 学校教育以降①:学歴社会と実践プログラム
12 学校教育以降②:社会的セグリゲーションと実践プログラム
13 相互検討会①:任意の課題と実践プログラムの開発
14 相互検討会②:任意の課題と実践プログラムの開発
テキスト
特定のテキストは用いないが、全回を通じて配付する「排除と包摂を考えるワークシート」に基づき授業を進める。
参考文献 文部科学省,2022,『生徒指導提要』.
林尚示・伊藤秀樹編著,2018,『生徒指導・進路指導――理論と方法 第二版』学文社.
※その他の参考文献については、授業の中で適宜紹介する。
学生に対する評価(評価の重点)
・事前・事後課題(第2回~第12回で「包摂と排除を考えるワークシート」の記入):5点×11回=55点
・任意の課題に対する実践プログラムの開発:5点×2回=10点
・授業での取り組み(ディスカッションへの参加態度など)35点
を目安に、総合的に評価する。
履修制限等
受講者が適正人数を超える可能性が高いため、履修登録を行わない聴講での受講はお断りしています。
授業実施方法(対面方式/遠隔方式)
対面形式 ※適宜オンラインを取り入れる。
その他
この授業は、授業前に毎回多くの文献や資料に目を通し、各自でワークシートを記入したうえで授業に臨んでいただく「反転授業」形式で行います。したがって講義形式の授業に比べてインテンシブな参加が求められます。大変ですが、授業を終えた頃にはその分学校教育課題への実践プログラムに対する批判的考察力や開発力が身についているはずですので、積極的に参加してください。
またこの授業で検討する課題は学校教育課題の一部でしかありません。本授業を通じて、各自の研究・実務の関心に合う学校教育課題に対する実践プログラムの開発が進むよう、知識そのものに加えて考え方のフレームワークや勘所を会得するように心がけてください。
担当教員は、児童生徒に対する福祉的な支援を行うスクールソーシャルワークの実務と研究に携わってきました。授業の前後に、これに関連した質問も受け付けます。