副題
教育の社会科学的研究入門
授業概要
教育学の学習・研究の基礎を身に付けることを目指す。「教育学研究法Ⅲ」では、まず教育の社会科学的な研究法の1つである教育社会学的な見方・考え方を理解する。そのうえで、それらを支える研究方法論である量的研究法・質的研究法のそれぞれの基礎を学ぶ。
授業の到達目標
①教育社会学的な見方・考え方を理解する。
②量的研究の基礎、具体的には量的な問いとは何かを理解したうえで、質問紙調査実施上の留意点、クロス集計の作成法と解釈の仕方を身に付ける。
③質的研究の基礎、具体的には質的な問いとは何かを理解したうえで、インタビュー調査実施上の留意点、概念の作成法とその吟味の仕方を学ぶ。
これらを通じて、教育学専修2年次必修科目の「教育社会学」につながる基礎力を育むとともに、3年次から始まる演習(ゼミ)や4年次の「卒業論文」といった大学における学修の中軸を担う科目の下支えとなるような技法を身に付けることを狙いとする。
事前・事後学習の内容
(事前学習)Waseda Moodleに前日までに掲載される資料に目を通し、事前課題に取り組んでおくこと(120分程度)。
(事後学習)各回で課される課題(ワークシート)に取り組み、Waseda Moodleより提出すること(120分程度)。
授業計画
第1回 イントロダクション(講義の概要、グループ分け等)
本講義の位置づけと概要について説明したうえで、授業中に取り組む量的研究法・質的研究法のワークにおけるグループ分けを行います。
第2回 教育社会学の見方・考え方
教育の社会科学的な研究法の1つである教育社会学の学問的特徴について講義します。
そのうえで、教育社会学の知見の1つに関して、ワーク&ディスカッションを行って理解を深めます。
第3回 量的研究法入門① 量的な問いと質問紙調査
量的な問いの立て方ならびに質問紙調査について講義します。
そのうえで、量的な問いを立てた上で、その問いを検証できる質問を考え、受講生相互に検討し合います。
第4回 量的研究法入門② クロス集計表の作成法とその解釈
量的なデータの基礎的な分析手法の一つであるクロス集計表ならびにその解釈について講義します。
そのうえで、実際に量的データを手元の端末で操作し、クロス表を作成して解釈するワークに取り組みます。
第5回 質的研究法入門① 質的な問いとインタビュー調査
質的な問いの立て方ならびにインタビュー調査について講義します。
そのうえで、質的な問いを立てた上で、その問いを検証できる質問を考え、受講生相互に検討し合います。
第6回 質的研究法入門② 概念の作成法とその吟味
質的なデータの分析に共通する概念の作成法について講義します。
そのうえで、実際に質的データを用いて概念を作成するワークに取り組みます。
第7回 講義のまとめ
ここまでの講義をふまえて、質的研究法・量的研究法のいずれかの手法を用いた研究計画を作成し、受講生相互に検討し合います。
そのうえで、本講義で学んだことについてまとめます。
教科書
特に指定しない。資料を配付する。
参考文献
上野千鶴子『情報生産者になる』ちくま新書、2018年
佐藤郁哉『フィールドワーク』新曜社、2006年
高根正昭『創造の方法学』講談社現代新書、1979年
外山滋比古『思考の整理学』ちくま文庫、1986年
日本教育社会学会『教育社会学事典』丸善、2018年
菊地栄治『他人事≒自分事:教育と社会の根本課題を読み解く』東信堂、2020年
酒井朗・多賀太・中村高康編著『よくわかる教育社会学』ミネルヴァ書房、2012年
本田由紀・須藤康介・古市憲寿『新版 文系でもわかる統計分析』朝日新聞出版、2018年
佐藤郁哉『質的データ分析法:原理・方法・実践』新曜社、2008年
成績評価方法
レポート: 80% 提出されたレポート・ワークシートについて、授業内容の理解度や「アウトプットの質」の観点から総合的に評価します。(第1~6回:10点×6=60点+第7回(20点))
平常点評価: 20% 授業への参加状況(グループワークを含む)について総合的に評価します。(3点×7回=21点(20点上限))
備考・関連URL
理解を促すために、授業は講義とグループワークをおおよそ1:1の割合で組み合わせて実施します。授業に参加することで、評点の対象となるレポート(ワークシート)の質を高めることができます。休まず出席してください。