☆この記事は、主に研究者以外の方を想定して書いています。(研究者であれば知っているような情報でも、適宜補いながら書いています。少々冗長かもしれません。)
なぜ研究費を獲得するのか
何に使うのかといった細目は、もちろん研究課題ごとに異なります。研究課題ごとに必要な額を試算したうえで申請していますので、各研究課題ごとにその内訳はばらばらです。
ただし、研究の原資となる研究費をいただく理由は、共通して下記の3つがあると考えています。
①研究の能率を上げるため:限られた時間で、より充実した研究を行うことができる。
②社会調査を用いた実証的な研究を行うため:研究を図書館や研究者の頭の中で完結させるのではなく、社会の現実を反映した研究を行うことができる。調査協力者に対して、協力に要する負担相応の謝礼を支払うことができる。
③得られた研究成果を、学会や研究会等の研究コミュニティに発表するため:研究に対する方向性や改善点についてのフィードバックが得られる。研究成果の妥当性をめぐった評価が受けられる。
人文・社会科学系の場合、「研究費がなくとも研究ができる」という意見もあります。しかし私の研究の場合、研究を進める上で上記②・③が必要不可欠です。そうした都合もあり、研究費を申請・獲得しています。
なお科学研究費助成金(科研)をはじめ、多くの研究費は公募→審査→採択・交付というプロセスをたどります。つまり、応募した人の全員が研究費を執行できるわけではなく、中には応募したけれども採択されなかったということもあるわけです。(現に私も過去に不採択になったことが度々あります。)採択されたということは、研究コミュニティから自分の研究に対する“付託(やってもいいよ、頑張って!)”を受けたことを意味します。近年、研究費不正についての報道が後を絶ちませんが、そうした付託に応えられるよう、誠心誠意取り組んでいます。
主な使途範囲
私の研究では、研究費は主に
- PC、スキャナー、ICレコーダー等、デスク周りの備品費
- 書籍購入費や複写費
- 調査依頼や調査の実施に要する旅費
- 調査票や資料の印刷に必要なプリンター・インク(トナー)・用紙等の印刷費
- 調査票送付・返送に用いる切手や封筒等の郵送費
- 調査協力者への謝金
- データ入力や整理に要する委託・研究補助費
- 研究会への出席、学会への入会・出席に要する年会費・参加費
- 英語論文や発表に必要な英文校正費
等に用いています。なお、研究費の交付元ならびに研究費を管理する所属機関が定めるルールに従って執行しています。
これまでにいただいた研究費
これまでにいただいた研究費は以下の通りです。
とりわけ科学研究費助成事業の詳細は、科学研究費助成事業データベースの研究者ページをご覧ください。
種目名 | 研究課題名 | 研究者 | 期間 |
---|---|---|---|
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 | スクールソーシャルワーカーの支援スタイルの相違・機序の解明:勤務時間・環境の比較 | 藤本 啓寛 | 2023年4月2027年3月 |
日本学術振興会 科学研究費助成事業 研究活動スタート支援 | 労働移動を通じたスクールソーシャルワーカーの職能成長についての社会学的研究 | 藤本 啓寛 | 2022年8月 - 2024年3月 |
早稲田大学 特定課題研究助成費 | タイムスタディ調査を用いたスクールカウンセラーの支援スタイルの解明 | 藤本 啓寛 | 2022年5月 - 2023年3月 |
早稲田大学 教育総合研究所 公募研究助成費 | 私立大学附属高校が大学進学者にもたらす影響に関する研究-高大連携教育と内部進学制度に着目して- | 吉田 文,沈 雨香,山本 桃子,木村 康彦,武藤 浩子,藤本 啓寛 | 2022年4月 - 2023年3月 |
日本学校ソーシャルワーク学会 研究奨励補助制度 | タイムスタディ調査を用いた配置型スクールソーシャルワーカーの支援実態の解明-学校単位の勤務時間によるソーシャルワーク実践のバリアンス- | 藤本 啓寛 | 2022年4月 - 2023年3月 |
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) | 〈多元的生成モデル〉にもとづく教育政策の再構築に関する総合的研究 | 菊地 栄治, 池田 賢市, 木村 優, 紅林 伸幸, 小国 喜弘, 白川 優治, 末冨 芳, 高橋 亜希子, 永田 佳之, 仁平 典宏, 根津 朋実, 丸山 英樹, 宮古 紀宏, 油布 佐和子, 吉田 敦彦, 和井田 清司, 藤本 啓寛 | 2020年4月 - 2023年3月 |
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 | 学校配置型スクールソーシャルワーカーによる学校の変容についての研究 | 藤本 啓寛 | 2020年4月 - 2022年3月 |